結論
まずはじめに、色々調べた私なりの結論から。
・これから新規で契約するのはオススメしない。
その結論に至った理由を述べていきます。色々と細かい数字が出てきますが、この結論を頭の片隅において読んでもらえると少し分かりやすくなります。
るーと家の加入状況
私の加入状況は上の娘が生まれた後、2017年3月に某保険会社の学資保険に加入しました。正直当時はここまで真剣にお金のことは考えていなかったので、「なんとなく」子どものためにと思い加入しました。保険の詳細は以下の通りです。
・受取率121.7%(246万円払込、300万円分割受取)
・一年あたりの内部収益率 約1.07%
私も妻もほとんど無駄遣いをしない性格なので、当時から貯蓄はある程度ありました。銀行に眠らせておくくらいなら多少でも子どものお金が増えるといいな、もし自分が働けなくなっても子どもの養育費の補填になればいいなくらいの感覚でした。
全期前納
一括して保険料を納めることで、受取率を上げることができます。当時は急ぎでまとまったお金を必要としていなかったので全期前納とし、一括で246万円もの金額を納めました。
受取率121.7%
全期前納で契約したことで246万円の払込で300万円の受取となり、約121.7%の受取率となりました。ただしこれは後述しますが、2017年3月時点の契約だからです。まったく同じ全期前納で300万円分割受取のプランであっても現在契約すると受取率は109%となってしまいます。
一年あたりの内部収益率 約1.07%
魔法の関数IRRでみていきましょう。細かいことは難しいので、1年あたり約1.07%の利回りで複利運用されているという理解でも大丈夫です。
初年に246万円払い込み、2034年から4年に分けて75万円ずつ受けとります。全期前納なので、厳密にいうと保険会社が毎年追加積み立てをしているのですが、こちらからすると1年目から246万円資金拘束されているのでこのように整理します。
以上の状況をまとめると多額の資金拘束が発生するにも関わらず年利回りは約1.07%程度となっています。投資の世界では年利回り4%程度は見込めるので、かなり低水準ですね。
学資保険のデメリット
保険料率の改訂
保険料率は低金利の影響を受け、何度にもわたり改訂されています。私の契約した2017年3月は保険料率の改定に滑り込みで間に合い、まだマシな利率でしたが、まったく同じプランを同保険会社で今契約しようとすると受取率は109%となっています。2017年3月時点と2021年3月時点で同じプランを契約した場合の利率の違いを以下にまとめました。
(受取率)121.7% → 109.0%
(年 利) 1.07% → 0.47%
たった4年でこれだけ保険料率が改悪されています。今の超低金利時代に新規で契約するのはオススメしません。
受け取り時の税金
どうですか?もう頭痛いですよね。基本的に通常のサラリーマンで学資保険だけで見るならば税金は発生しないパターンが大半だと思います。しかし、受け取り同年に他にも一時所得・雑所得がある場合はその判断をする必要があります。
途中解約の元本割れ
これは契約プランにより様々なので例はありませんが、受取時までの十数年間という超長期間資金拘束されるにも関わらず、途中解約すると元本割れしてしまいます。
以上のような数多くのデメリットがあるにも関わらず、年間利率は1.07%程度とそれはそれは投資をしている人からすると悪者に見えるでしょう。
さっさと解約して投資に回した方が良いよ!
米国株なら年4%以上のリターンがあるんだからさ!
確かに制度改定により使いやすくなったジュニアNISAを使う方が良いかも知れません。私も色々と調べた結果、下の息子の時(2019年)には学資保険に入るのは辞めました。
それでも学資保険を解約しない理由
「円」にて安定確保できる資金
比較対象としてよく投資があげられており、その対象として全世界株式・米国株式ETFや投資信託があげられています。ここであまり日本株投資にした方がいい!という話は出ませんよね。
確かにこれらの年間平均リターンは学資保険のそれを遥かに凌ぐものが多いです。私自身も自らの資産として、全世界株式ETFなどに投資しています。しかし、これらの投資には為替リスクも内包していることまで理解した上で子どものお金として投資できるでしょうか?
外国株への投資だと、子どものお金が必要となるタイミングで「円換算で」元本割れしていないかどうかはあまりにも不確実です。超長期で見て外国株投資が上がっていくことは理解しています。しかし、お金が必要な時期に○○ショックで株価が暴落していたら?為替レートが円高に傾きすぎて、株価としては上昇していても円ベースで見たら減っていたら?
可能性を挙げたらキリがないのですが、これらの不確定要素は「いつ」起きるか誰も予測できません。しかし、子どものお金が必要となる時期はある程度推測できます。その必要な時期に「円」で安定的に確保できる資金源というのは決して完全なる悪者ではないと思います。
「円」として安定的に年利約1%という点だけ見ると、庶民の感覚としてはとても安心感を得られます。
日本で生活していくうえで、為替レートは無視できません。
ジュニアNISA分の資金を別で確保してある
ジュニアNISAは2023年で新規買付が終了する子供用のNISA口座です。年間80万円買付可能なので2021年から始めた場合、80万円 × 3年 = 240万円が非課税にて運用可能となっています。ジュニアNISAを語りだすとこのページだけでは収まりませんので割愛しますが、ジュニアNISA分の資金を別で確保してあることが学資保険を解約しない理由です。
前の節で為替リスクが~とか言っときながらジュニアNISA口座で買付しているのは全世界株式の投資信託です。2023年以降はジュニアNISA口座はいつでも売却可能となり、資金拘束から解放されます。資金拘束が無いにも関わらず、20歳まで非課税で運用できる口座は活用しない手はありません。高校卒業のタイミングで必要となる「円」資金は学資保険で補填しつつ、高利回りでも運用する分散スタイルで養育費をカバーしています。
私自身は投資肯定派です。ただ、周りが言うからという理由で深く考えずに、学資保険を解約して全世界株式に養育費をすべて投入するのにはちょっと待ったと言いたいです。前述のリスクを考慮して期間を分散して現金化するなど、しっかりプランを考えているならば良いですが、ノープランで全ツッパは危険だと思います。
生命保険料控除の対象となる
正直これはおまけレベルとしか捉えていませんが、あまりに悪口ばかり書くのもアレなので一応書いておきます。学資保険は一般生命保険料控除に該当し、金額にもよりますが大体控除の上限金額に達すると思います。
住民税 控除額の上限:28,000円
一般的なサラリーマンで所得税率20%、住民税10%だとした場合
(40,000円 × 20%) + (28,000円 × 10%) = 10,800円 の軽減になります。とはいえ、学資保険以外の保険にも加入している場合は学資保険のみのメリットとは言えないので参考程度となります。
バランスは悪くない
現金で銀行口座に入れているだけでは超低金利でインフレについていけない。投資に入れているだけでは暴落・為替リスクなどにより資金が必要な際に現金化しても目減りしている可能性がある。
様々な考えがありますが、全てバランスだと思います。長期資金拘束にはなりますが、安定的に年1%の複利効果を得られると見ると完全な悪者と断ずるほどではないと私は思います。ただ、現在新規で契約すると年0.47%となってしまいそこまで下がるとメリットの方が薄いと判断します。
さいごに
いかがでしたでしょうか?学資保険は投資の世界ではよく悪者の代表格で取り扱われています。「解約して投資に回したほうがいい!」という意見もありますが、本当にそうなのかしっかりと自分で調べて考えた上で解約をしてください。私は投資余力を残した状態であったため、無理に解約してまで投資比率を高めるよりも安定の「円」を得るために安定ポートフォリオとしてそのままとする判断をしました。
当時はなんとなくで契約していた学資保険を時が経った今改めて見直してみました。あるべき姿は契約する前にここまで下調べするべきだと思います。「なんとなく」「皆やっているから」「周りが言っているから」という言い訳をしても誰も助けてはくれません。
自分の人生設計をよく考えて、自分の考えで判断していくことが大事ですね!
これからもゆるく、しっかりと生きていきましょう!
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